お見合いパーティー体験小説 MAX clip
ドライフルーツでステップアップのチャンス
「山下くん、午後からのミーティングだけど君も出席して欲しいんだけど。」「わたしが!?ですか。」「うん。今度の商品企画といっても最終段階だけど、君にも実務者レベルで係わってもらおうと思ってね。そろそろセクション担当を持ってもいい頃だろう。」「はい。ありがとうございます。」入社して4年半、ようやく雑務的な仕事からステップアップを果たした。同期入社の子で今残っているのは4割ほどだ。自分でも続いているのが不思議なくらいだった。新商品の販売ルート確立チームに加わるなんてずいぶん評価されたものだ。
「プレッシャーあるけど、ある意味チャンスよね。がんばらなくちゃ。」縁あって選んだ業界であり、職業だ。できることなら一目置かれてみたい。出世欲ほどではないけれど自己顕示欲は相当に強い。趣味は自己啓発。自分ではそうは考えていないが自分磨きが好きで好きでたまらない。頼りにされているのに力になれない。そんな自分は絶対に許せない。
「ドライフルーツの盛り合わせかぁ。」「なんかようわからんフルーツも入ってるなぁ。」「洋ナシはまぁいいけど、タマリンド?ってこれ何?」「あと、ヤングコーンって!?フルーツちゃうやん。」一人突っ込みもお手の物だった。
「行楽以外の需要!すなわち日常でのスナックとしての位置を狙っていきたいと思います。」「ドライフルーツはフルーツをより美味しく食べるための工夫であり本来テーブルの上で提供されるものです。断じて保存食ではありません。」「缶詰との明確な差別化とより自然素材を活かした技法であることをアピールする方法について活発な議論を期待します。」えらいさんが息巻いて商品流通コンセプトを語ってくれた。「ふーん、要は缶詰とお客さん層がかぶるので差別化を計りたいってことか。」どちらも生食ではないので保存食ジャンルの果物として取り扱われている。この概念を打ち破るのは説明すれば簡単だ。しかし、説明なしに的確に伝えるとなると難しい。なにか、インスピレーションが沸くヒントが欲しかった。「ええと、まず甘さが段違い!!いや、シロップ漬けは病的な甘さやし」「じゃあ、噛み応えは・・・果物ってイメージ的にはジューシーさが大事よね。やっぱさ。」「凝縮されたうまみがお口いっぱいに広がります。そんなコピーはいらんか。」あれやこれや心の中で考えているとさすがにベテランの先輩達。経験からいろいろな裏づけのある意見をお述べになられる。「なるほどー。」頷くことしか出来ない自分にイライラしてしまった。
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